保護犬を迎えるということは、命を預かり守ることです。
普段は大人しく、固まってしまうような子でも、パニックになると人を引きずれるくらい強い力を発揮します。
倉敷市保健所に収容される元野犬を脱走させてしまうと、自力で帰ってくることはほとんどありません。
とはいえ、脱走対策のダブルリードや室内係留はあまり一般的ではなく、ピンとこない方もいらっしゃるでしょう。
「起こるべくして起こった脱走。保護できたことは、本当に奇跡でした。」と話してくれたレイ君のママ。
家族に迎えて慣れてきたと感じた頃に脱走、2ヶ月の迷子生活の後、無事保護されたレイ君のストーリーを紹介します。
人になでられるのが大好きな看板犬|レイ君
フサフサのしっぽ、ふわふわの毛並みがゴージャス!
元野犬と聞いて誰もが驚くイケワンのレイ君は、人になでてもらうのが大好きで、お店の看板犬を勤める日もあるそうですよ。
かわいい雑貨や洋服を購入できるママのお店では、売上の一部が保護犬・保護猫活動に寄付されるチャリティー商品も販売中です!
愛犬の名前 | レイ |
推定年齢 | 4歳 |
我が家記念日 | 2019.07.08 |
先住犬・猫 | 猫4匹 |
SNS |
1頭だけ引き出すことに意味はある?
レイ君のママは、なんで保護犬を迎えようと思ったの?
私は両親と一緒に暮らしているのですが、レイを迎える前年に父が亡くなり、母が淋しいのではと思ったことがきっかけです。
保護猫の預かりボランティアをしていることもあり、犬を飼うなら「保健所から引き取りたい」という思いがありました。
保護犬と暮らすことに不安はなかったの?
保護犬と暮らすことよりも、その中で1頭だけ引き出す事が自分に出来るのか、果たしてそれに意味があるのかという不安の方が大きかったです。
倉敷市保健所ボランティアteamKARの方に出会い、「誰かが1頭引き出すと、また新たな子を収容する事ができる」だから、自分が救ったのは1頭だけではない、ということを知りました。
元野犬でもしつけはできる
レイ君の話もっと聞きたいなぁ。
保健所にいた時は、大人しくて威嚇もないし攻撃的でもない、触れるし何でもやらせてくれる子だったようです。
今でもそれは変わりませんし、ビビリだけど人になでられるのは好きなので、お店に連れて行ったり、イベント出店に同伴することもありますよ。
やさしい子なんだね!それじゃあ、困ったりしたことはないの??
レイは、おそらく生後10ヶ月位でうちに来ました。子犬でもない、成犬にもなりきれてない位の時期です。
家の中では大人しいのですが、いざ散歩に出ると別犬になり、興奮すると私の周りをぐるぐる回ったり、遊ぼうのポーズをして、私にガウガウ言いながら飛びかかってきて甘噛み。
これが非常に痛くて、アザが出来る程でした。
時間と根気はいりますが、元野犬でもしつけは可能です。甘噛みについては、“噛んでも無視する”を続けたことで、自然となくなりました。
起こるべくして起こった脱走
もうひとつ、譲渡の際にボランティアさんから「野犬のトリセツ」についてのお話もありましたが、野犬初心者の当時の私には、その重要さが理解できていなかったように思います。
そして迎えて1ヶ月半、レイとの生活に慣れて余裕が出てきたころ、私のミスで脱走させてしまいました。
レイは、こちらの様子をものすごく注意深く見ていて、すきを狙っていて「今だ!」と全速力で走っていったのです。
起こるべくして起こった脱走。保護できたことは、本当に奇跡でした。
この時協力してくださったボランティアさんと出会ったことで「疑問点や不安、悩みがあれば、“こんなことくらいで”とか思わずに聞いとくべきだった。」と気づき、保護犬に対する意識や考え方も変わりましたね。
レイが脱走した経緯と、保護するまでの2ヶ月間を「note」に記録として残しています。私のように、迷子にさせて後悔する前に読んでいただけると幸いです。
野犬も家庭犬と変わらない
レイは、人が好きでビビりながらも、なでてもらったり「可愛い」と言われて嬉しそうにしているところを見ると、野犬で生きていくより保護されて本当に良かったね、と思います。
“野犬は怖い”イメージがありましたが、家庭犬と何も変わりませんし、できることが少しずつ増えていく事に喜びを感じます。
フサフサのしっぽ・ふわふわの毛並み・体が大きいこと・可愛い笑顔・安心して眠る姿・嬉しそうに食べる姿……。全部ひっくるめて可愛いレイを、家族に迎えてよかったです。