「保護犬を飼うのは難しくありません!」と自信をもって言えたらいいのですが、成犬の元野犬を迎えて1年、わたしも不安を完全に解消できていません。
果たしてこれは「保護犬を飼うのは難しい」からなのでしょうか?
保護犬だけに限らず、ペットを飼うことは人間の思い通りにいかないことの連続です。
そして警戒心の強い保護犬は、世間一般より悩みや不安が増えるかもしれません。
しかし、あとから振り返ると「部屋の隅っこで動かない時期も可愛かったな」と、心に残るいい思い出になるのも事実です。
心配で気になる気持ちも分かりますが、警戒しているうちは“放っておく”くらいで大丈夫ですよ。
この記事では、食べない、動かない、ブルブル震えていた子の1年後の姿を紹介します。
保護犬を飼うのは難しい?
保護犬といっても、繁殖引退犬、野犬、多頭飼育崩壊、家庭の事情による持ち込みなど、保健所や保護団体に引き取られる理由はさまざまです。
わたしは、2匹の元野犬を迎えましたが、亡くなった子より今の子の方が“難しい”と感じました。
その理由は以下の3つ。
・触ろうとすると逃げる
・ご飯を食べてくれない
・苦手なことをするとお口が出る
亡くなった子は、賢くて甘えん坊な男の子。
迎えたのは推定月齢10ヶ月。
性別、子犬か成犬かで違いがありそうです。
はじめの3ヶ月は「この子の不安を解消できるのだろうか」と、とにかく不安でした。
そして、1年が経った今でも“懐いた”と自信をもって言えません。
とはいえ、月日とともにその不安も解消しつつありますのでご安心ください。
犬が安心できる環境を整えたら大丈夫
保護犬を迎えた飼い主さん、または保護犬を引き取りたいと考えている方は、きっと心の優しい方なんだと思います。
だからこそ、「この子を幸せにしてあげたい」と思い、「何ができるのだろう」と考えてしまうのではないでしょうか。
考えるから“難しい”のであって、実は特別な何かをするは必要ありません。
毎日ご飯が食べられて、ふかふかなベッドで眠れる。
飼い主は、犬が安心できる環境を整えてあげるだけでいいのです。
食べない・動かない保護犬も変われる!
「特別な何かをするは必要ありません。」と言われても、ご飯を食べない、動かなくて固まっている姿を見たら不安にもなりますよね。
ここからは、倉敷市保健所に収容された元野犬の成犬、わが家の愛犬の姿を紹介していきます。
距離は縮まりましたが、
1年が経った今でも、懐いたとは言えませんが…
リラックスできる場所を自分で見つける
同じ場所から動かなかったうちの子も、今はさまざまな場所で過ごせています。
保護犬を迎えてぶつかる壁のひとつ「部屋の隅から動かない」。
これは、テーブルの下、部屋の隅のように、薄暗い場所、体にフィットするスペースは、穴ぐらに近い環境になり、犬にとって安心する場所だからです。
ボランティア譲渡で人との暮らしを経験しているうちの子も、はじめの3ヶ月は同じ場所から動きませんでした。
少し前に出てきてはまた戻る。一進一退の繰り返しです。
この時大切なのは、リラックスできる場所を自分の力で探す姿を見守ること。
うちの子の場合は、以下のような流れで今に至ります。
①ドッグスペース
②イスやテーブルの下
③イスやテーブルの横
④リビング全体
⑤イスやクッションの上
できたことが自信になって、次にチャレンジしたくなるのは人間と同じかもしれませんね。
動き出したことをきっかけに
室内係留を見直しました!
甘える・尻尾を振る・ワガママも出てきた
アイコンタクトも取れるようになり、ひざの上にあごを乗せ、かわいさをアピール!!
夜のおやつタイムでは、尻尾を振って喜び、もっと欲しいと甘噛みして催促するなどといったワガママも出てきました。
できることがひとつ、またひとつ増えるごとに距離が縮まるのを実感できます。
手を伸ばせば震え、触ることも難しかった時期からは想像できないほど、表情も豊かになりました。
歩けるだけで100点!徐々にステップアップ
人を避けてお山で暮らしてきた野犬、警戒心の強い保護犬は、リードをつけて人と一緒に歩けるだけで100点です。
まずは庭からスタートし、徐々にステップアップすると良いでしょう。
例えば、以下のような感じ。
①自宅の庭や玄関
②早朝や夜の自宅周辺
③人が少ない空き地や公園
④距離をのばしていく
里親さんにインタビューしたところ
「ビビリだけどお散歩は好き」
という子が多かったです。
うちの子は、“できるかぎり家から出たくない”タイプです。
散歩は習慣化しましたが「そっちは行きたくない」「早く帰ろう」とする日もあります。
そんな時は、無理に引っ張らずに「もう少し歩こうよ」とか、一緒に座って「風が気持ちいいね〜」などと話しかけて動き出すのを待ちます。
「暴れたらどうしよう」と心配になるかもしれません。
それでも、できるだけ飼い主さんが散歩を楽しむ姿を見せてあげてくださいね。
楽しい時間が心の距離を縮めた
散歩が出来るようになったタイミングで、わたし達の趣味であるキャンプに出かけました。
知らない場所での脱走は、“死”を意味します。
脱走させない係留、人が常に横で見ている必要があり、簡単にオススメできることではありません。
でもやっぱり「連れて行ってよかった」と感じたので紹介させてください。
自然豊かな場所で、家族がそれぞれ好きなことをするキャンプは、心落ち着く時間です。
犬は人の表情や感情を観察するので、わたし達がリラックスしていたのが伝わったのでしょう。
おやつを持っていないと近くにこなかった子が、自ら隣にやってきて足の上にあご乗せ!!
「知らない場所でも、この人達の横なら安心だ」と言っているようで、心の距離が縮まったのを感じました。
まとめ|うちの子は手がかからなくて飼いやすい
「食べない」は、手作りご飯で解決し、「動かない」は、見守っていたら少しずつ動けるようになりました。
体もさわらせてくれますが
10回くらい撫でると逃げます(笑)
じゃれないし、おもちゃで遊ばない、わしゃわしゃ撫で回せないけど大変だと思うことはありません。
放っておくくらいがちょうどいい子なので、家での暮らしになれてからは手もかからず飼いやすいと感じています。
保護犬を迎えたいけど不安な方は、性格やお散歩の様子が分かり、困った時は相談しやすいボランティア譲渡も視野に入れてみてくださいね。
わたし達の故郷、倉敷市保健所ボランティアteamKARのInstagramもチェックしてね。